VISION OF FASHION

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JOURNAL

「洋服を通して世界を変えたい」CONTEXT TOKYOが魅せたい“洋服を着ることの楽しさ”とは?

「なぜ洋服を着るのか?」
「安価な洋服が溢れている今、どうして高価な洋服を買うのか?」

これらはシンプルなようでいて、じっくり腰を据えて考えてみると、なかなか答えが出ない問いではないでしょうか。これらの問いに、真摯に向き合い続けているV.O.Fメンバーの一人が、CONTEXT TOKYO店主・伊藤憲彦です。

CONTEXT TOKYOは原宿にひっそりとたたずむ、V.O.Fのお店の一つ。2018年11月にオープンし、多くのお客様にご愛顧いただいています。

今回は店主・伊藤に、お客様に伝えていきたい“洋服を着ることの楽しさ”、CONTEXT TOKYOを通じて叶えたい想いについて、熱く語ってもらいました。

CONTEXT TOKYOが原宿の裏通りにある理由

__CONTEXT TOKYO(以下、CONTEXT)って、どんな場所にあるんですか?

キャットストリートを一本裏手に入った、細い道にあります。表参道のCHANELとDiorの間の道を、渋谷方面にまっすぐ歩くと左手にあります。車通りが多いので気をつけて来てください。僕も車に轢かれかけたことがあります(笑)。

__今の場所でお店をやっている理由はありますか?

ふたつあります。ひとつは日本のファッションをもっと活性化させたいからです。

原宿は日本のファッションの中心地だと思うんです。感度が高い人たちがたくさん歩いていて、多くの洋服の文化が生まれた街。服を買うならひとまず原宿・青山は外せないんですよ。

ただ、個性をしっかり持った素敵なお店も多いのですが、僕自身は原宿を歩いていても欲しい服がないんですよね。個人的には生々しさを感じるようなものに惹かれるところがあるので。

__今日の伊藤さん、のっけから尖っていきますね(笑)。

「尖る」は今年の僕のテーマなんで(笑)。だから、僕は誰かに見せるためというより、自分のために着るような服を置いている尖ったお店を、原宿でやりたかったんです。ファッションってもっと自由でいいんだって感じて欲しくて。

いろんな価値観を持った人に会いたいんです。だから原宿でやることに意味があるんです。そういう想いで始めた甲斐あってか、うちに通ってくれる方は僕に共鳴してくれる人ばかりですよ。

__もう一つの理由は?

お客様との時間を大切にするためです。うちは小さい店ですし、スタッフもほぼ1人ですから、大通りでやっていると、たくさん人が入ってきちゃってお客様一人一人にかける時間がどうしても短くなってしまうんです。

うちに置いている洋服たちの魅力を大切に伝えていきたいからこそ、しっかりお客様と対話したうえでご提案したい。だからこその「一本裏手」なんです。

洋服屋なんてたくさんあるのに、わざわざうちに来てくださる……そんなお客様のためのお店でありたいですね。

__対話というのは?

好きなものって人それぞれで良くて、正解はないと思っていて。だから一方的にこちらの好みを押し付けるのではなくて、その方の趣向は大事にしたいんですよ。

「洋服を通して世界を変えたい」その思いを叶えるためにV.O.Fへ

__伊藤さんはCONTEXTの店主になる前、どんな仕事をしていたんですか?

大学を卒業したあと、上京して就職しました。セレクトショップで働いていたのですが、ずっと悩み続けていましたね。どうしてもビジネスの色が強くて、自分にとっては違和感があった。

そんなときにV.O.Fの代表に声をかけてもらって。同じタイミングで外資の某ブランドからお誘いをいただいていたんですが、自分にとっての服屋をやる意味を再確認してV.O.Fに合流することにしたんです。

__そこまでの決断を後押しした「服屋をやる意味」って何ですか?

僕がこの業界に入ろうと思ったのは「洋服を通して世界を変えたい」って思ったからです。たまに何言ってんの?って笑われることもありますが(笑)、その意思は今でも硬くて、ずっと変わらないです。本気です。

__「洋服を通して世界を変えたい」というのは、どういうことなんですか?

自分の好きな洋服を着て出かけるのって、最高に幸せじゃないですか。つい笑顔になっちゃう。そうやって単純に、街を歩くみんなが自分の好きな洋服を着て、笑顔になれば、もっと素敵な街に・世界になるだろうなって思って。

__その世界を実現させるためにCONTEXTを選んだ?

はい。店の存在意義をよく考えるんですけど、お店って、そこで働く人が好きなものをお客様にご紹介する場所だと思うんです。

でも大きな企業で働いていると、自分の意見よりも会社としての意見が優先になるじゃないですか。結果として、僕の場合「自分が好きで買い付けたものじゃないけど、売らなきゃいけないからお客様にご紹介する」って状況が生まれてしまって。

そこにどうしても、強い違和感があったんですよね。

__確かに「洋服の楽しさを伝えて世界を変えたい」という想いとは、どこかチグハグな気がします。

そうです。好きなものだけをバイイングしてきてご紹介する。お店ってそういうものじゃないかって思っているんです。確かに数字や人を見ることも大事かもしれません。

でも好きでバイイングしてる個性を持ったお店がたくさんあって、お客様がそれぞれの好みにあうお店に通う―――お店ってそれでいいんじゃないかって。

だから僕はV.O.Fを選びました。個性を大切に、自分の好きなものだけをご紹介したいと思ったから。

__「洋服の楽しさを伝える」ってところで、PRESSとかのポジションは考えなかったんですか?

直接楽しさを伝えることに意味があると思っているので、内勤とかは全く視野に入りませんでした。一生店頭宣言です(笑)。

「もっと自由なお洋服の楽しみ方を知って欲しい」CONTEXT TOKYOが魅せたいもの

__CONTEXTではお客様にどんな価値を提供していきたいですか?

これまでも、これからも、もっと自由な洋服の楽しみ方を知ってもらえるお店でありたいです。

__どういうことですか?

今の世の中には、ファッションにおける「正解」が溢れていますよね。ファッション誌、YouTube、Instagramなどを開けば、いつでも「正しい」スタイリングが見ることができます。

多くの日本人は高校まで制服を着て学校に通いますよね。だから高校を卒業して私服になると急に何を着たらいいかわからなくなるという人が多いように感じています。

結果、制服みたいに「これを着てれば間違いない」という「正解」がウケるんだと思うんですよね。

でも、本来のファッションはもっと自由に自分らしさを表現するためのものだと思うんです。例えばみんな一緒に見える制服でも、人それぞれ着方が違うじゃないですか。

きちっとシャツのボタンを閉じている人とか腰パンしてる人とか。同じものを着ていても個性ってしっかり出るんです。だから、もっと自由に自信を持って表現して欲しいんですよね。

__ファッションは自己表現なんだ、と。

そうです。「衣食住の中で一番いらないものは?」と聞かれたら、僕は衣だと答えます。食べるものや住む場所がないと生きていけないけど、服は家から出なければなくても生きていけますからね(笑)。

でも一方で、衣食住の中で嘘がつけないのは衣だけなんです。

__嘘がつけない?

普段何を食べていて、どこに住んでいるかなんていくらでも嘘を言えますが、服は今着ているものが全てなんですよ。

そういう意味で、やっぱりファッションは自己表現なんです。だからどこかから借りてきた「正解」を着るのではなくて、自由な感覚で自分の文脈に合ったお洋服を選んで欲しい。

__「自分の文脈」というのは?

どこで生まれて、どんなふうに育って、どんな価値観を持って、どんな日々を送っているのか……そうした自分だけの道筋です。

この自分の文脈とお洋服が持つ文脈、すなわち歴史や文化、デザイナーの思いが交わったとき、初めてその人にとっての「運命的な洋服」が見つかると考えています。

店名のCONTEXT(=文脈)には、この2つの文脈を紐解く場所、交わる場所という思いを込めています。

__でもそれって、なかなか自分では見つけにくいですよね。

そうですね。だからこそショップスタッフがいるんです。僕にとってのショップスタッフの役割はそういう「道案内」をする人だと思っていて。

オンラインでいつでもどこでも、すぐにモノを買えてしまうけど、新しい価値観は人とのコミュニケーションの中でこそ発見できるものですから。

僕自身まだまだ至らないところばかりですけど、店とか消費者とか関係なく一緒に楽しみながら世界を変える旅に出たいですね。

聞き手/鈴木 直人(ライター)
語り手/伊藤 憲彦(CONTEXT TOKYO)