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JOURNAL

ZIGGY CHEN 20AW/Designer interview




V.O.Fでは、ZIGGY CHEN 20AWについてデザイナー本人にインタビューをする機会をいただきました。そこで以下ではバイヤーである中村憲一によるZIGGY CHEN氏へのインタビューの模様を、対談形式でお届けします。

中村憲一(以下、K):久しぶりのインタヴューになりますね。よろしくお願いします。

ここ数年のあなたのコレクションのなかで、この20AWは、ファブリックとデザイン、全体の雰囲気のバランスが取れていた印象でした。と言うのも、以前はストリート、モードというように分離されていたと感じていました。

今回は全体的に垣根が取り払われ、世界観がひとつに集約されて懐が大きく見えました。テーマが「ブレンディング」というのは、成程言えて妙です。それは製作する前の段階から意識していましたか?

ZIGGY CHEN氏(以下、Z): そうですね。それは最初の段階から意識していました。シンプルにしたかったのです。原型があり、それを発展させることを考えていました。シルエットはルーズに変化しています。

毎日、自分が着るうえで、身体の動きを意識してパターンを微調整を繰り返していました。動きやすさを特に考えました。具体的な箇所でいえば肩。そこは特に重要視しました。

K: 確かに、肩がソフトになっていましたね。文字通り肩の力が抜けたようでした。リラックスしているというか。以前は、ミリタリーコートをベースにして、もっとアグレッシブでしたね。

Z:そうです。でも、今はリラックスしています。マテリアルにもそれが現れていると思います以前、多用していた素材はウールリネンでした。

しかし、今回はウール100%にして、軽さとコンフォタブルを追求しました。リネンの代わりにメタルを織り込んで、シワの質感をだすように工夫しています。リネンの良さは着込んだような質感がでるのですが、ちょっと重くなるんです。

K:確かにそうですね。ウールリネンが今は多用されて目新しくはない印象になっているなかで斬新なアプローチだと思います。

あなたのロングコートには重力が伴っていましたが、その印象をキープしながら軽さと着心地のコンフォタブルが実現されていました。

Z:心が自然へ向かっています。それは、本来もともと自分にあったものですが、年々加速していると思います。自分の身近にある自然というかを慈しむ気持ちでしょうか。








K:製作するうえで、苦労したことはありますか?

Z:新しいアイデアを思いついて、チャレンジ、失敗、トライアンドエラーの繰り返し、ステップバイステップすること、それを克服して進むことがとても愉しいのです。そういう意味では苦労とは感じないですね。

K:あなたの世界観を体現している色について聞かせてください。

ここ数年、内向的な世界と言うか、この世ではないような混沌としたアブストラクトなイメージでした。西洋と東洋の妖怪と神々が混在している世界の絵柄、ダークでモヤがかかった色合いの印象でした。

今回は、煉瓦や壁、樹木など、それこそ自然で外向きなモチーフでしたね。色合いも我々の世界の目に映る色合いと質感、ノスタルジックな感情を喚起させるものへ回帰していました。あなたの初期の頃のような。

Z:そう言われてみると、そうでした。なるほど……それは全く意識はしていませんでしたね。気持ちが現れたのかもしれません。

前シーズンに出来なかったことがクリアされていって、技術が向上していく経験です。そういう意味でリラックスしていたのしょう。

今回は「楽しみたい」という気持ちがより強く出ています。そして、毎シーズン、作り終わったあとに必ず不満があります。それを克服していくことに喜びを感じます。

K:その向学心があなたらしいと思います。ところで、2、3年前のストリートムーブメントの頃、正直どう感じていましたか?私の目から映るあなたは苦悩しているように感じていました。

Z:最悪でした。(一同笑う)バイヤーからも、そのようなリクエストが強くありました。ボンバージャケットないの?とか。

しかし、売れるからといって、マーケットに合わせたものづくりをするのは自分ではない、と苦悩していましたね。その時期はとても落ち込んでいました。

でも、それは振り返りの時間として、ストリートポピュラーの歴史を勉強しました。例えば、MA1などですね。とても深く考察を掘り下げました。

それらのストリートの表現を満足できるレヴェルまで出来る様になってきたら、すでにトレンドは過ぎ去っていました。(一同爆笑)

K:例えば僕が育った日本だったら、80年代のカルチャーだな、と理解してストリートムーブメントを受け止めることが出来たのですけど。もちろん、好き嫌いは別としてですが。

あなたの中国で、そのようなムーブメントをリアルタイムで経験していませんよね?

Z:もちろんそうです。80年代の中国のカルチャーは何もありません。無なのです。ですので、ストリートが出てきたときは、異物感しかありませんでした。

K:なるほど。異物感ですか。だから、その頃のあなたのコレクションには理解不能な妖怪が出てきたのかもしれませんね。

Z:なるほど。意識はしていませんでしたが、そうかもしれませんね。

K:今後についてお伺いします。あなたの持つアジアのエレガンス、それをこれからどう表現していきたいですか?

Z:2年前のその苦悩を味わって、自分を見つめ直しました。見渡せば世界に洋服は溢れています。自分は自分のエレガントを追求する—マイウェイに進むだけだと思いました。決して流行に流されずに。 

K:期待しています。長い時間付き合ってくれて感謝します。最後にファンにメッセージをお願いします。

Z:皆には、自分のファッションを貫いて欲しいです。自分の解釈で自由に着て欲しい。自分で思考する、独立して考える—己の哲学を持って。皆んなそれで良いはずです。









lnterviewer : KENICHI NAKAMURA
Translator : HIROKI OOSUKA